しばらくして、マネージャーに呼ばれて、さらに奥の部屋(楽屋)へと連れて行ってもらう。部屋に入ると、人の後姿が見えた。Mikeだ。薄暗い部屋に溶け込むような黒髪のドレッドとダークな服装、オレンジ色に揺らめくキャンドルの光とあいまって、幻想的な光景だった。Mikeは、暗闇の国のキングのように、穏やかだけど威厳のある姿で佇んでいた。私は一瞬固まり、TOSHIさんは「OMG」と口走った。
挨拶して握手。部屋の中央にあるソファーに座るように勧められて、Mikeに続いて向かい側に腰を下ろした。Mikeは「よく来たね」とにこやかに静かな口調で話し始める。我々の予定を尋ねられ、「オークランドとバンクーバーのショウを観て、明日、日本に帰る」と伝えた。 |
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| Mike: |
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日本には沢山親戚がいるんだ。15歳のときに両親が離婚し、その後、父が再婚したのが沖縄の女性だった。彼女はまだ存命だよ。 |
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| 奥のドリンクカウンター上部にある小さなモニター(TV)を気にするMike。丁度、NBAファイナル第3戦が放映されている。 |
| Mike: |
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ごめんね。ファイナルが気になってね。 |
| MT: |
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バスケットボールが好きなのですか? |
| Mike: |
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そう。 |
| MT: |
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どこのチームのファン? |
| Mike: |
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レイカーズだよ。特にコービー・ブライアントのファンなんだ。家族中がレイカーズのファンでいつも試合を見ながら大騒ぎなんだ。 |
| TOSHI: |
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僕もレイカーズが好きで、1980年からの長年のファンなんです。マジック・ジョンソンが好きで… |
| Mike: |
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あの頃は、マジック・ジョンソン、カリーム・アブドゥル・ジャバー、がいたよね。 |
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| 程なく、Mike夫人Marcieがグラスに入れた飲み物(ジュース)をMikeのところに持って来る。Mikeが「ノニ?」と聞くと、彼女は「ノニよ」と答えた。Mikeは飲み物に口をつけつつ、夫人に紹介してくれる。MarcieもMikeの隣に座って、しばし歓談。 |
| MT: |
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グヤトーンは気に入って頂けましたか? |
| Mike: |
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すごく気に入ってる。写真が1〜2枚しか無いにも関わらず、それだけでよく探してくれたね。あれは自分が持っていたのとほぼ同じものだ。一緒に送ってもらった説明書きもすごく参考になったよ。ツアーはハードで、あのギターには耐えられないだろうから、今は家に置いてあるよ。 |
| Marcie: |
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Mikeはすごく喜んでいたわ。 |
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| Mike: |
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日本には2回行ったね。 |
| TOSHI: |
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80年と86年ですね。86年はBob Dylanと一緒でした。2回ほど武道館で観ました。 |
| Mike: |
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武道館? ああ、BU-DO-KANね。 |
| Marcie: |
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私は一度だけ(86年)行ったけど、すごく良かった。京都が印象に残っている。他には名古屋、東京、大阪に行ったわね。 |
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| TOSHI: |
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オークランドのショウで使っていたレスポール (Mikeは最近、1959年製 Gibson Les Paulを入手、『Mojo』のレコーディングで使用している) が良かった。トーンもサスティーンも最高です! |
| Mike: |
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実はあれはレプリカなんだ。Gibsonに写真を送ったら、それと全く同じように彼らは作ってくれたんだ。ツアー直前に送られてきて、「Saturday Night Live」のときに初めて使ったんだ。 |
| Mayu: |
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なるほど。相当高価なものですからね。 |
| Marcie: |
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そう、高いからツアーには持って行けないわ。でも、本物と全く同じ音なのよ。違いはほとんど分からないわ。 |
| Mayu: |
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それはトップシークレットですね。 |
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| Marcie が笑いながら人差し指を口にあてた。 |
| Mayu: |
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TP&HBは長い間、日本に来ていないので、是非、バンドで来日して欲しいです。日本に来るという可能性はいかがですか?難しいというのはよく分かってるんですけど。 |
| Mike: |
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多分、来年がヨーロッパで…、その翌年にはオーストラリア、日本にも行きたい(行ければ)と思ってるけど。Tomの意向次第。あとは、Tomのワイフ次第だよ。 |
| Marcie: |
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ワイフは大事よ。 (Mikeをチラッと見て突っつく) |
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| 仲の良いふたり。Marcie夫人はスレンダーでソフトな印象の気さくな感じの女性だった。ここで Marcieは「すごくお腹が空いちゃったので」とディナーを食べに退出。Mikeは「まだ(食べなくて)平気」と夫人に答えていた。どれくらい居座って良いものかもわからないので、一応、「我々はまだここに居て大丈夫ですか?」と尋ねると、「大丈夫だよ」と言ってくれたので、そのまま会話を続けた。 |
| TOSHI: |
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(Mikeが飲んでいたものが気になって) それはノニですか? |
| Mike: |
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そう、(年齢的な理由もあって) 健康には気をつけている。Marcieがいろいろ気を遣ってくれる。彼女は僕よりももっとヘルスコンシャスなんだ。 |
| Mayu: |
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美味しいんですか? |
| Mike: |
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不味くはないよ。フルーティーだ。匂いをかいでみて。 (空のグラスを差し出す) |
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| ワイングラスにかすかに残ったノニの匂いをかぐと、確かにフルーティーな香りがした。味の方は残念ながら不明。 |
| この前後の会話の中で、少し前に読んだ記事に「Mike宅には18才を筆頭にした4匹のブタがいる」と書かれていたので、「あのブタが生きてると知ってビックリです。ずいぶん前のビデオ(Going
Home)に出てきてましたよね」と尋ねてみると、Mike「実は最初のブタはもう死んだ。その後に年老いたブタ にノニをあげたら元気になったんだ」とのこと。別のインタビューでは「年老いた愛犬にノニをあげている」とも答えていて、どこまでもアニマル・フレンドリーなMikeなのでした。 |